2009年3月27日金曜日

アカデミアの過去、現在、未来

昔に比べて、アカデミアの職業を目指すリスクは上がっていると思います。そのような状況下では、研究職を目指し、報われる確率は低いです。

1.アカデミアの過去
20-30年前は、博士を取らずに、修士を出ただけで、助手(現在の助教)になる人がたくさんいました。またポスドクはなかったので、研究員にならず、そのまま先生になる人がほとんどでした。もしくは、国研に行った場合も、任期なし研究員での採用でした。食いっぱぐれるリスクはほとんどなかったように見受けられます。

2.アカデミアの現在
ところが現在、博士をとっても、標準的なキャリアパスは、ポスドクになることです。助教になれる人は、多くありません。先生になれる人は僅かです。また多くのポストが任期付きになろうとしています。任期付きの准教授(=特任准教授)というポジションも増えています。任期なしの人の下に、多くの任期付きの人が働くという構図になりました。

ここで浮上してきたリスクは、期限が切れた後に次のポジションが見つからないリスクです。悲しいことに、「博士やポスドク経験は会社でほとんど評価されない」ので、そこから会社に転身を図るのは難しいです。

3.アカデミアの未来
今後も、国が国家予算を削減し、人件費を減らすのに伴い、任期付きの雇用が増えていくのではないでしょうか。そしてリスクはますます上がると思われます。

ここで正直に自分の考えを言うと、「今の状況が、過去の状況のままなら、リスクは少ないので、研究を続けたい」です。しかし現実は変化し、リスクは昔よりも多くなっているようで、あまり考えずに研究を続けていけるのかどうか、迷います。つまり僕らの先生が辿ったのと同じコースは辿れません。楽観的に考えると、「過去の人と同じように、自分もなっていける」と思いますが、実際はそのようなことはあまりないはずです。その状況を踏まえた上で、どこに行くか、また再考すべきかもしれません。

2009年3月18日水曜日

博士の能力が活きる就職先

結局、就職先は大学や研究所にします。現在の指導教官に、次の就職先を一任してきました。さて今後は、どこに行くことになるのでしょうか。


当初は、「研究はあまり好きではない」、「会社でも博士の能力が活かせる場所がある」、と思っていました。しかし取材を進めていくにあたり、そうでもないことが分かりました。
  • 研究は、自分の好奇心に基づく限り、会社の業務よりも、はるかに面白いものです。
  • 業績ばかりを狙って、好奇心がないことをやろうと考えると、途端につまらなくなるので、注意が必要といったところでしょうか。
  • 今後は面白い仕事を狙ってやるようにします。
会社で、博士の能力が活かせる場所はあまりないようです。
  • 博士卒後、会社に行って、働いている人に直接伺いました。「博士じゃないとできない仕事はない。淡々と業務をこなす毎日で、物足りなさを感じている」と。
  • また日本の会社に入って、研究職にならないなら、十中八九博士を持っていても待遇は上がらないようです。出世するようにもならず、よい仕事がもらえるわけでもありません。むしろ入社するのが遅れた年数分、出世が遅くなるようです!それにも関わらず、せっかく時間を費やして博士をとった後に、日本の会社に就職するのは、勿体ないものがあると感じました。
  • 日本の会社では、「博士的な能力」がほとんど必要とされていないことに、待遇が上がらない原因があると思います。おそらく日本の会社は、欧米でうまくいった方式を取り入れて、それを改善して業績を伸ばしてきたことから、クリエイティビティやオリジナリティはあまり必要とされていません。むしろ性格テストで、「オリジナリティにこだわらない人」の方が、高い評価を得ると言われています。「日本の会社では、創造性が必要とされていない」とは、日本にインターンシップに来たアメリカ人も、同じことを言っていました。
博士をとって、博士の能力が活きる会社への就職は、限られているのが現状だと思います。ということで、博士の能力が活きる大学か研究所に就職します。

(10社以上の書類選考[エントリーシート]を通過したことから、博士新卒の会社への採用は、理論的には可能なようです。)

2009年3月14日土曜日

「大企業」と「公的な研究所」の管理体制の違い

親類や近所に、大企業で働いていた人がほとんどいなかったために、「大企業での労働環境」についてほとんど知りませんでした。今になって、大企業の社員にインタビューするうちに、「大企業で働く意味」が分かってきます。会社の利益を守るための管理が重視されます。そして社員は会社の指示に従って動きます。

例えば大企業では、このような特徴がありそうです。

  • 【本人の希望】よりも、【企業の利益】が優先された配属となる
  • 【職場見学の機会】は採用試験の通過者に限られていて、内部がよく見えない
  • 社員の行動と情報発信が管理されていて、自由に動けない
  • 人事部を通してからのOB面談

しかし僕は、管理されて、不自由になるのが苦手です。なので、管理が多い組織(=大企業, etc.)は苦手という結論が導き出されました。




一方で、地方自治体の研究所にコンタクトをとったときは、大きな違いを感じました。自由だなあと思いました。自由という一点において、公的な研究所はいいですね。
なぜなら、

  • 比較的、本人の希望を押し通すことができる
  • 人事部を通さなくても、職場が見学できる
  • 研究所のチーム長とも、直接対話や電話ができる
  • 自主的に時間を管理して、行動することができる

からです。なんといっても、自由な感じです。





両者を比べてみて、がんじがらめにされてしまう大企業で、数十年に渡って働く自信がなくなりました。僕は給料が多少低くても、自由なところで働きたいです。

両親が自営業の人は、「自由に働くのが当たり前」と思ってしまうので、「規律が多い組織で働くのを苦手」に思ってしまう傾向が強いのではないでしょうか。自由志向の人は、自由度が高いところに目星をつけて就職活動するのがよさそうですね。

2009年3月11日水曜日

1日に4社回って、雰囲気を感じ取る

ある就職活動の一日の作業記録です。これで就職活動の雰囲気がつかめるでしょうか。

朝10:00から夜8:00まで、1日で合計4社回ってきました。内訳は、会社説明会に2社、面接に1社、リクルーター面談に1社というところです。1社に平均2時間ぐらいかかりました。いろいろと片付いて、気がついたのはよかったです。移動が多かったので、さすがの僕もかなり疲れました。

行った場所は、東京のベイエリアを中心に、「お台場」→「新橋」→「大井町」→「東京駅」でした。運良く、回る順番がよかったので、スムーズに回ることができました。

業界は、石油業界x2、文房具業界、運輸業界といったところです。これはバラバラで、あまり統一性がありません。

硬軟ありました。インフラ系の会社は堅い雰囲気を持っていましたし、外資系の会社は柔らかい雰囲気でした。僕は、柔らかい雰囲気の会社の方が、働きやすい感じがしました。「自由闊達さ」というのが、一つ大事なファクターです。

実は、初めての面接でした。その割には、我ながら、うまくいったと思います。つまることなく、実体験にもとづいて、軸を持って、論理的に話せました。よいできでした。無意識的に、志望度が高かったのかもしれませんね。

最後に、東京は就職活動がしやすい都市です。はっきり言うと、愛知にいて、できることの方が少ないです。愛知にいた友達は、青春18切符を使って、在来線を乗り継いで、1日で東京を往復していました。それに比べますと、東京に住んでいる地の利のよさを感じています。

明日は就職活動の予定はなく、スーツを着る必要がない日です。研究に専念します。

2009年3月4日水曜日

会社説明会で感じたこと等々

皆さんお久しぶりです。ここしばらくは、会社説明会を見て回ってきました。直感的に感じたことは、一般的な日本のメーカーは僕にとって、少し肌に合わないということです。大学の方が、会社よりも自由度が高く、やりたいことがやりやすいので、僕には合うのかもしれません。見ることではっきりするものがありました。

僕が見てきたメーカーについて、直感的に感じたことを書いておきます。
  • 博士卒じゃないとできない仕事がない。
  • 「やりたいことがあれば、やらせてもらえる会社です」と人事や社員は言うが、やりたいことをやらせる事例は、現実には極少数である。
  • 目標がなく働いている人が大多数で、メーカーの社員なのに、作りたいものがない人が多い。
  • 部署が移動できるシステムがあるというものの、希望通りに部署を移動するのは難しい。
  • 希望の配属が叶うことも珍しい。
  • コアタイムがある。フレックスタイムの導入は少数派。
  • 在宅ワークはできないのが普通。
  • なぜか皆と同じ格好悪い作業着を着る必要がある。メーカーの事業所や工場は僻地が多い。
  • 残業が多く、会社と仕事のことばかりで頭が一杯になる。
  • 年功序列で給料が決まっており、40-50代になって、給料の面で報われることになる。しかし20年後に、その会社が存続するかどうかは、誰も読めない。
  • PCに変なセキュリティがかかっている。
現実問題、生きていくために、お金が必要です。そこで僕が妥協して、働くことができるかは、少し考える必要があります。なかなか自分の条件を満たす会社に就職するということは、難しいものがあるようです。
 
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